少子高齢化や核家族化が進む現代、お墓を継ぐ人がいなくなる「お墓の無縁化」が深刻な社会問題です。地方にある先祖代々のお墓を解体・撤去し、遺骨を別の場所へ移す(改葬)または自然に還す(散骨)ことを総称して「墓じまい」と呼びます。
「自分たちが元気なうちに整理しておかないと、子供たちに負の遺産を残すことになる」ーーそんな切実な思いから、50代〜70代を中心に墓じまいに踏み切るケースが急増しています。
下記のどれか一つでも当てはまるなら、放置は禁物だ。無縁仏として強制撤去されてからでは遅い。
子供がいない、娘が嫁いで姓が変わった等で、お墓の管理費を払い続ける人がいない場合。最も多い墓じまいの理由です。
「実家の九州にお墓があるが、自分は東京に家を買った」など。草むしりのためだけに帰省する体力・費用が負担になります。
本堂の改修費用などで高額な寄付(数十万円単位)を求められ、これ以上のお付き合いを続けるのが経済的に厳しいケース。
墓じまいの費用は「撤去費・離檀料」と「その後の供養費用」の合計で決まる。撤去だけで平均30万〜50万円。供養先をどこにするかで総コストが倍近く変わってくる。
| 供養の種類 | 総費用の目安 | 特徴・こんな人向け | 維持費 |
|---|---|---|---|
| 近隣の霊園へ改葬 | 100万〜250万円 | 新しいお墓を建て直すため最も高額。 お参りする場所を残したい人向け。 |
あり (年数千〜数万円) |
| 樹木葬・納骨堂 | 50万〜100万円 | 個別安置期間が終わると合祀される。 費用を抑えつつ、お参り先は確保したい人向け。 |
なし〜少額 |
| 合祀(永代供養) | 30万〜60万円 | 他の人の遺骨と一緒に埋葬される。 とにかく費用を抑えたい、後腐れなくしたい人。 |
なし |
| 海洋散骨(自然葬) | 35万〜60万円 | 遺骨を粉末化し海へ撒く。 お墓という形を残したくない、自然に還りたい人向け。 |
完全無料 (維持費ゼロ) |
※費用は地域・業者・石材店・寺院により大幅に異なります。必ず複数社から見積もりを取得してください。
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墓じまいは「勝手にお墓を壊して骨を持ち帰る」ことは法律(墓地、埋葬等に関する法律)で禁じられています。必ず以下の手順を踏む必要があります。
「勝手に先祖の墓を片付けた」とトラブルになるのを防ぐため、お墓に関わる親族全員へ事前に事情を説明し、同意を取ります。ここが一番重要です。
遺骨の行き先が決まっていないと、行政の改葬許可が下りません。この段階で海洋散骨業者や納骨堂の契約を済ませ「受入証明書」をもらいます。
「墓じまいをします」と事後報告するのではなく、「後継ぎがいなくて悩んでいる」と相談ベースで持ちかけ、円満に離檀の合意と「埋蔵証明書」をもらいます。
現在お墓がある自治体の役所へ行き、受入証明書と埋蔵証明書を提出して「改葬許可証」を発行してもらいます。
石材店に依頼し、お坊さんに閉眼供養(魂抜き)のお経を読んでもらった後、墓石を撤去して更地に戻し、お寺へ敷地を返還します。
取り出した遺骨を専門業者に依頼して粉末化(洗浄・乾燥・粉骨)し、海洋散骨の実施、または新しい納骨先へ納めます。
離檀料(お寺を離れる際のお布施)に法的な支払い義務はありませんが、これまでの感謝として包むのが慣例です。相場は3万円〜15万円(平均的な法要のお布施の2〜3回分程度)です。稀に「墓を掘り返すなら300万払え」等と法外な請求をされるトラブルがありますが、払う必要はありません。払えない旨を丁寧に伝え、揉める場合は弁護士や自治体に相談してください。
お寺(霊園)によっては「墓石の解体は指定石材店のみ」というルールがある。この場合、相見積もりが取れないため解体費用が相場(1平米あたり10万円前後)より2〜3割高くなる。契約前に必ず管理規約を確認すること。
墓じまいは「先祖を捨てる行為」じゃない。荒れ果てた無縁仏にしてしまうより、自分たちの代で整理して新しい形で供養を続けるほうが、よほど誠実な選択だ。
お墓の管理という重荷を下ろせば、子供や孫は心理的にも金銭的にも楽になる。それが最後の親孝行かもしれない。
お墓のことは、気づいたときに動いておくのが正解だ。親族が元気なうちに一度だけ話し合えば、あとは専門家に聞くだけでいい。まず資料を取り寄せることから始めてほしい。
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